ソルフェジオ周波数は誰が作ったのか?起源となる「中世の僧侶」と現代の「再発見者」の真実

YouTubeやヒーリング音楽の世界で絶大な人気を誇るソルフェジオ周波数。「聞くだけでDNAが修復される」「奇跡の周波数」といったキャッチコピーを目にすることも多いでしょう。

しかし、冷静に考えたとき、一つの疑問が浮かびます。「そもそも、この周波数は誰が作ったのか?」と。

実は、この問いに対する答えは単純ではありません。

なぜなら、ソルフェジオ周波数には「音階の基礎を作った中世の人物」と「具体的なヘルツ(Hz)数を定義した現代の人物」という、異なる時代の二人の重要人物が存在するからです。

この記事では、ソルフェジオ周波数の歴史的な起源と、現代における再発見のプロセスを紐解き、都市伝説ではない正確な情報をお伝えします。

目次

ソルフェジオ周波数の「2人の生みの親」とは

結論から申し上げますと、ソルフェジオ周波数の成立には、約1000年の時を超えた二人の人物が関わっています。

音階の始祖:グイード・ダレッツォ

一人目は、11世紀初頭のイタリアの修道士、グイード・ダレッツォ(Guido d’Arezzo)です。

彼は現在の「ドレミファソラシ」の元となる音階法(ソルフェージュ)を考案した人物であり、音楽史における最重要人物の一人です。

彼が定義したのはあくまで「音の並び(音階)」であり、現在のような「528Hz」という数値ではありませんでした。

周波数の再発見者:ジョセフ・プレオ博士

二人目は、20世紀後半のアメリカの自然療法医、ジョセフ・プレオ博士(Dr. Joseph Puleo)です。

彼は聖書の記述に基づいた数秘術的なアプローチにより、現在知られている「396Hz」「528Hz」といった具体的な周波数の数値を導き出しました。

なぜ「誰が作ったか」が複雑なのか

多くの情報源でこの二人が混同されがちです。「中世のグレゴリオ聖歌に使われていた」という話と、「DNAを修復する528Hz」という現代の理論が一緒くたに語られるため、情報の混乱が起きています。

正しくは、グイード・ダレッツォの概念をベースに、ジョセフ・プレオが現代的な解釈(周波数数値)を与えた、と理解するのが最も事実に即しています。

起源1:グイード・ダレッツォと「聖ヨハネの賛歌」

まずは、歴史的な起源である中世ヨーロッパに目を向けてみましょう。

ドレミの起源となった「Ut Queant Laxis」

グイード・ダレッツォは、聖歌隊が新しい歌を覚えるのに苦労しているのを見て、画期的な教育法を編み出しました。彼は「聖ヨハネの賛歌(Ut Queant Laxis)」という賛美歌の、各節の最初の音が1音ずつ上がっていくことに注目しました。

この歌詞の頭文字を取って名付けられたのが、以下の6つの音階です。

Ut(ウト) Re(レ) Mi(ミ) Fa(ファ) Sol(ソ) La(ラ)

これこそが、ソルフェジオ(Solfeggio)という言葉の語源であり、私たちが知る「ドレミ」の原点です。後に「Ut」は発音しやすい「Do(ド)」に変わり、「Si(シ)」が追加されました。

失われた音階とグレゴリオ聖歌の関係

伝説によれば、当時のグレゴリオ聖歌には、現代の音楽にはない特別な「霊的な力」が宿っていたとされています。しかし、歴史の変遷とともに、音楽の基準となるピッチ(音の高さ)は変化し、政治的・宗教的な理由から、本来の「聖なる音階」は失われてしまったと言われています。

当時の「ソルフェージュ」の意味

グイード・ダレッツォにとってのソルフェージュは、あくまで「神を讃えるための歌を、正確に歌うためのツール」でした。彼自身が「528Hzが体に良い」と説いた記録はありません。しかし、彼が体系化した音楽が、人々の精神に深い安らぎを与えていたことは、当時の宗教音楽の重要性から見ても疑いようのない事実です。

起源2:ジョセフ・プレオ博士による「再発見」と数秘術

時計の針を1970年代半ばに進めます。ここで登場するのが、現代版ソルフェジオ周波数の生みの親、ジョセフ・プレオ博士です。

1970年代の啓示と聖書の暗号

ジョセフ・プレオ博士は、旧約聖書の「民数記(Numbers)」第7章に隠されたパターンがあるという直感を得ました。彼は、ピタゴラスの数学的還元法(すべての数字を一桁になるまで足し合わせる方法)を用いて、聖書の記述を解析しました。

カバラ数秘術(3・6・9)と周波数の特定

彼は民数記の特定の節番号(12節、18節、24節…)を分析し、そこから繰り返し現れる数字のパターンを発見しました。

例えば、ある数字の列を足していくと「3、6、9」という数字が浮かび上がります。ニコラ・テスラが「3、6、9の秘密を知れば宇宙への鍵を手にする」と言ったとされる、あの数字です。プレオ博士はこの法則に基づき、以下の6つの数字を導き出しました。

396 417 528 639 741 852

これが、現在私たちがYouTubeなどで耳にする「ソルフェジオ周波数」の正体です。つまり、これは音響測定機器によって古代の遺跡から発掘されたものではなく、聖書の記述を数秘術的に解読して生まれた数値なのです。

レオナルド・ホロウィッツ博士による普及とDNA修復説

ジョセフ・プレオ博士の研究をさらに広め、世界的なブームを作ったのが、レオナルド・ホロウィッツ博士(Dr. Leonard Horowitz)です。

彼は1999年の著書『Healing Codes for the Biological Apocalypse』の中で、528Hzを「愛の周波数」「奇跡の周波数」として紹介しました。

特に「528HzがDNAを修復する」というセンセーショナルな主張は、またたく間にスピリチュアル界隈や代替医療に関心のある人々の間に広まりました。

古代の音階と現代の周波数の決定的な違い

ここで、専門家として冷静な視点を提示しておく必要があります。中世の「音」と現代の「周波数」の間には、技術的な乖離があるからです。

純正律と平均律の違い

現代のピアノや一般的な音楽は「平均律」という調律法で作られています。これは1オクターブを均等に12分割する方法です。一方、中世以前の音楽や自然界の調和を重視する音楽は「純正律」や「ピタゴラス音律」に近かったと考えられています。

ソルフェジオ周波数は、現代の平均律の「ドレミ」とは周波数が微妙に異なります。現代の「ド(C)」は約261.6Hz(A=440Hz基準)ですが、ソルフェジオ周波数の「Ut(396Hz)」や「Mi(528Hz)」は、現代の音階の隙間に存在するような独特な響きを持っています。

528Hzは本当に古代から存在したのか?

「ヘルツ(Hz)」という単位は、19世紀の物理学者ハインリヒ・ヘルツにちなんで名付けられたもので、中世には存在しませんでした。したがって、グイード・ダレッツォが「528Hzで歌え」と指示した事実は物理的にあり得ません。

しかし、当時の楽器や聖歌隊が、現代の基準ピッチ(A=440Hz)よりも低い、あるいは自然倍音に近いピッチで演奏していた可能性は高く、それが偶然にも現在の528Hzに近い響きを持っていた可能性は否定できません。

科学的視点とプラシーボ効果の境界線

現時点で、「528Hzという特定の周波数が、物理的に人間のDNA鎖を修復する」という主張を裏付ける、査読を経た十分な臨床医学論文は(主流科学の場では)確立されていません。

しかし、音響療法(サウンドセラピー)としての効果は無視できません。特定の周波数や音楽が自律神経を整え、ストレスホルモン(コルチゾール)を減少させる効果は多くの研究で示唆されています。「心地よい」と感じる音が副交感神経を優位にし、結果として自然治癒力を高めるプロセスは、科学的にも説明がつきます。

主要なソルフェジオ周波数一覧と提唱される効果

最後に、ジョセフ・プレオ博士らが提唱し、現在一般的に利用されている周波数の意味を整理します。これらは医学的な効能書ではなく、それぞれの周波数が持つとされる「テーマ」として捉えてください。

基本となる6つの周波数

  1. 396 Hz (Ut):罪悪感と恐れの解放。グラウンディングに適しており、不安を取り除く基盤となる音。
  2. 417 Hz (Re):状況の回復、変容の促進。マイナス思考からの脱却や、変化への適応を助ける音。
  3. 528 Hz (Mi):変容と奇跡、DNAの修復。愛の周波数とも呼ばれ、最も人気のある万能な音。
  4. 639 Hz (Fa):つながりと関係性。人間関係の修復や、コミュニケーションの円滑化をサポートする音。
  5. 741 Hz (Sol):表現力の向上、問題の解決。デトックス効果や、自己表現を助ける音。
  6. 852 Hz (La):直感力の覚醒。精神的な秩序を取り戻し、高次元の意識と繋がるとされる音。

追加された周波数

後の研究や解釈により、基本の6つに加えて以下の3つもソルフェジオ周波数として扱われることが増えました。

  • 174 Hz:意識の拡大と進化の基礎(痛みの軽減と言われることもあります)。
  • 285 Hz:多次元領域からの知覚促進。
  • 963 Hz:高次元、宇宙意識とのつながり。

まとめ

ソルフェジオ周波数は誰が作ったのか?その答えは、「中世の修道士グイード・ダレッツォが音階の概念を作り、現代の研究者ジョセフ・プレオ博士が数秘術を用いて特定の周波数を定義し、レオナルド・ホロウィッツ博士が世界に広めた」という歴史の積み重ねの中にあります。

それは単なる古代の遺物ではなく、現代人が失ってしまった「音による癒やし」を、数秘術や新しい解釈を通して再構築しようとした試みと言えるでしょう。

科学的なエビデンスのみを追求すれば議論の余地はありますが、多くの人々がその音色に癒やしを感じている事実は変わりません。重要なのは、誰が作ったかという情報にとらわれすぎず、あなた自身の耳と心で聴いてみて、心地よいと感じるかどうかです。

もし、日々のストレスを感じているなら、今夜は528Hzの音楽をBGMに、中世の修道院に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

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